レアジョブ社の業績予測の上方修正

2020年10月14日にレアジョブ社から「業績予測の修正に関するお知らせ」のIRニュースが出ていました。

要約すると、「新型コロナウィルスによる在宅率の上昇によって利用者が増えたので売上も増えました」ですが、注目すべきは以下の文です。

また、レアジョブ英会話サービスにおけるユーザーあたりのレッスン受講回数が当初計画 を下回ったことに伴い売上総利益が増加し、

当初計画のレッスン受講回数を下回ると売上が減るのでは?が一般的な感覚だと思いますが、オンライン英会話特有のビジネスモデルの特徴でもあるので解説したいと思います。

レアジョブ社2020年10月14日IR_1
レアジョブ社2020年10月14日IR_2

サービス料金体系

ビジネスモデルを理解するためにまずは料金体系についておさらいです。

2020年10月15日時点のレアジョブ英会話の料金体系は以下の通りです。「人気No.1」のタグがついている「毎日25分のレッスンで月5,800円」が主力のコースで、1レッスンあたりの単価は187円と破格です。

レアジョブ英会話料金体系

日本におけるリアル教室のマンツーマンでの英会話は週に1回、60分前後の授業で月額3万〜4万円が相場ですので、比較にならないほど安いです。

格安の値段で提供できる理由についてはご存知の方も多いと思いますが、講師がフィリピン人で人件費を安く抑えることができるためです。フィリピンは英語が公用語のため母国語レベルで英語を話せる人が多く、アメリカ、イギリスに次いで世界で3番目に英語が話されていると言われています。

1898年から1946年の約50年間、アメリカの統治がありこの間に英語教育が施されたという理由と、フィリピンは多民族国家で元々170を超える言語が存在すると言われており、共通言語として潜在ニーズがあったと思われます。

話が逸れましたが、レアジョブ社をはじめとするオンライン英会話の多くは、先生をフィリピンなどの英語力があり人件費が安い国に講師人材をアウトソースし、その講師とスカイプなどのリアルタイムビデオチャットを利用し繋ぐことで低価格を武器にサービスを提供をしています。

レッスン受講の仕組み

前述のように月額5,800円での利用を決めた後の流れですが、原則利用者がレッスン可能な空き時間と担当可能な講師を選択しレッスンを予約していく方式です。

メリットは利用者の都合で時間を決めれますので、仕事や学業の合間に受講することができます。深夜でも自宅から利用もできますので忙しい方でもやる気があればレッスンを受けることができます。

また、講師も選ぶことができますので自分に合いそうなタイプや前に話したことがある方を指名することも可能です。

一方で上記2点はデメリットにもなります。1点目の「自分で都合の良い時に予約する」は逆に言えば予約をしなければレッスンを受講しなくても構いません。月額固定の費用でレッスンは毎日1回受講できる権利は得ていますので、その中での回数や時間は利用者の判断に委ねられます。

2点目の講師の任意選択についても、利用者自身の都合の良い時間に希望の講師のシフトが出ていなかったり、他の予約が入っていて指名できないこともあるため予約が直前になると毎回違う先生とのレッスンということも発生します。

利用が減るほど利益が増える理由

これまで見てきた通り、レアジョブ英会話サービスは「月額固定のレッスン料金体系」「レッスンは利用者自身で都度予約」が基本ルールです。

さらに原価である講師へのレッスン料金は、「レッスンが実施された場合に発生する」ため、利用者の受講レッスン回数が少ない場合、売上(=月額利用料)は固定で変わらずに対し、原価(=講師へのレッスン料)は掛からず、その分利益が増えることになります。

一般的に受講率は30~40%と言われており、レアジョブ社もこれまでの実績から、利用率100%の受講率は想定していないと思います。しかし、それでも想定以上に利用率が低かったことで、結果的に利益率が上がったというのが今回の業績の上方修正の一因だったというのが冒頭に引用した文の背景です。

また、レアジョブ英会話サービスにおけるユーザーあたりのレッスン受講回数が当初計画 を下回ったことに伴い売上総利益が増加し、

なんとなく想像はできますが、コロナで在宅の時間が増えたのでスキルアップを目的に英会話を始めたけど、毎日はできなかったや続けられなかったという利用者が多かったと思われます。

当然上記のような運要素だけではなく、業務の効率化やコロナで想定外に急増する利用者を受け入れ切った企業努力も大きいですが、このビジネスモデルの特徴を理解しておくと、今回の業績予測の修正のIRから読み取れることも多くなります。